「ロレックスって、なんであんなに魅力的なんだろう…?」
そう感じたことがある方は、時計ファンに限らず、多いのではないでしょうか。
ブランドの歴史、デザイン、高級感、信頼性など、ロレックスが魅力的な理由は数えきれないほどありますが、実は見逃せないのが“素材”です。
ロレックスが使用するステンレス、ゴールド、プラチナといった金属素材から、ラバー製ストラップに至るまで―。
どれをとっても、他のブランドでは決して真似できない、独自のこだわりが込められています。
素材は、見た目の美しさはもちろん、腕時計の耐久性や着け心地にも大きく影響する、非常に重要なポイントです。
この記事では、ロレックスならではの素材である「オイスタースチール」や「RLXチタン」などを、それぞれの特徴や魅力をわかりやすく紹介していきます。
前回の『型番』を読み解く記事に続いて、ロレックスが“魅力的”と言われる理由を『素材』から探ってみましょう!
この記事の目次
ロレックスの素材について
ロレックスの時計には、ステンレススチール、ゴールド、プラチナ、ラバーなど、多彩な素材が使われています。
特にケースやブレスレットに使用されるこれらの素材は、単なる装飾性にとどまらず、耐久性や重さ、装着感、経年変化といった時計の性能にも深く関わっています。
さらに、見た目の高級感だけではなく、金属アレルギーを引き起こしにくいチタン素材、時計の心臓部と言える脱進機に画期的なシリコン素材を導入するなど、信頼性と実用性を高めるための新素材開発にも積極的に取り組んでいます。
ロレックスは素材から自社一貫製造する“真のマニュファクチュール”
ロレックスにおける大きな特徴のひとつが、時計に使われる素材そのものを自社で製造している点です。
多くの時計ブランドは、ケースやパーツに使用する素材を外部のメーカーから調達しています。
しかしロレックスは、設計から製造までの全工程を自社で完結する”マニュファクチュール”ブランドとして知られており、素材づくりに一切の妥協を許していません。
オメガのローズゴールド「セドナゴールド」やイエローゴールド「ムーンシャインゴールド」、ウブロのピンクゴールド「キングゴールド」など、独自に開発した特殊素材を一部のモデルのみスポット的に採用する時計ブランドは存在します。
しかし、すべての製品において、素材の鋳造から時計の製造に至るまで、全工程を自社内で完結しているブランドは、ロレックスを除けば、世界でもごくわずかです。
ロレックスでは、本社を構えるスイス・ジュネーブの主要な製造拠点内に、金属素材を鋳造するための専用施設を完備。ここでゴールドやプラチナなどの貴金属を、厳しい基準のもとで素材を生み出しています。
自社一貫体制による徹底した品質管理が、ロレックスの高い精度、信頼性、そして長く保たれる資産価値を支えているのです。
ロレックスのケース・ブレスレット素材を深掘り解説
腕時計に使われる素材といえば、まず思い浮かぶのは銀色の鋼鉄素材「ステンレススチール」。
耐久性の高さから、多くのブランドに採用されている定番の素材です。
もちろん、ロレックスでもステンレスは重要な素材のひとつですが、ロレックスではステンレスだけでなく、幅広い素材をラインナップしています。
それぞれの素材について、詳しく解説いたします。
ステンレススチール(オイスタースチール)
ロレックスでは、航空・化学産業でも使われる高性能な「904Lステンレススチール」素材を採用。
多くのブランドが採用する一般的な316Lスチールよりも耐食性・耐久性に優れており、ロレックスでは独自に”オイスタースチール”と名付けています。
1. 耐食性(耐サビ性能)が非常に高い
海水や汗、酸性環境に強く、湿気の多い場所でも錆びにくい。
航空機や化学プラントでも採用されるほどの耐久性能を誇る。
2. 美しい光沢を実現できる
研磨によって独特の美しい艶と輝きを実現。
他のステンレスでは表現できない、独自の高級感を演出する。
3. 硬度が高く、傷がつきにくい
日常使いでも美しさを長く保てる、硬くてタフな素材。
その反面、加工が難しく、扱えるブランドは限られる。
4. アレルギー耐性が高い
ニッケル含有量が非常に少なく、肌に優しい特性を持つ。
アレルギーを起こしにくいため、長時間の着用でも安心。
「904Lステンレススチール」は、時計に最適とされる優れたステンレス素材です。
※製造や加工には非常に高度な技術力が求められるため、ロレックス以外では「ボールウォッチ」や「ジラール・ペルゴ」が一部モデルに採用している程度で、採用するブランドはごくわずかです。
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エバーローズゴールド
「エバーローズゴールド」素材とは、ロレックスが独自に開発したピングゴールド素材です。
1. 独自配合の18Kピンクゴールド
18Kピンクゴールドを独自配合し「エバーローズゴールド」として展開。
銅の鮮やかな発色とパラジウムによる安定性で、高級感と耐久性を両立。
2. 色あせに強い耐久性
銅の含有比率を最適化することで、変色や腐食に強い構造を実現。
経年劣化に強く、長期間にわたり美しいローズカラーをキープ。
3. ロレックス独自の素材管理
自社鋳造所で厳密に管理・製造し、高品質な素材を常に安定供給。
ムラのない発色と高い耐久性で、最高レベルの品質を長期間維持。
ロレックス独自の「エバーローズゴールド」は、経年劣化に強く、エレガントで落ち着いた発色のピングゴールド素材で、日本人の肌色に最もマッチするゴールドと言われています。
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イエローゴールド
ロレックスの「イエローゴールド」素材は、単なる18Kゴールドにとどまらない、自社製造による高品質な仕上がりと、変色しにくい特性にあります。
1. 自社鋳造による高純度金素材
自社の鋳造所で18K(純度75%)の安定した高品質なYG素材を製造。
銀や銅を独自に配合し、純度・色合い・耐久性を徹底管理。
2. 圧倒的な光沢と深みある色合い
他ブランドに比べてやや赤みを抑えた、上品で鮮やかな発色を実現。
高度な研磨技術で、美しい黄金の色味と光沢感を長期間維持。
3. 多彩な採用モデル
ランドドゥエラーを除くすべての主要コレクションでYGモデルを展開。
かつて非採用だったエクスプローラーも、124273でYG素材が初登場。
華やかで豪華な印象を強く与えるため、ロレックスが多くのモデルに採用する「イエローゴールド」は、長年にわたり最も人気があるゴールド素材となっています。
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ホワイトゴールド
ロレックスの「ホワイトゴールド」は、自社鋳造による高純度・高品質な18K合金で、白さ・耐久性・重厚感を兼ね備えた高級素材です。
1. ロレックス自社鋳造による18KWG
ジュネーブの主要製造工場内の鋳造所による高品質な18Kゴールド素材。
純金(75%)に、パラジウムや銀など白系金属を加えた独自の特殊配合。
2. ロジウムメッキなしでも美しい白さ
他メーカーと異なり、白く輝かせるための白色のロジウムメッキ加工無し。
独自配合で、元々の素材自体が明るく美しい白色を長期間持つように製造。
3. 見た目は控えめ、中身はハイエンド
ステンレスに近い外観のため「さりげなく高級感を出したい」方に人気。
実際は18Kゴールドなので、重厚感・資産価値・希少性は非常に高い。
クールな見た目の高級感に加え、ロジウムメッキコーティングを施さずとも色ムラやくすみが出にくく、自然な白さと輝きを長期間維持できるのが、ロレックスの「ホワイトゴールド」の大きな特長。
美しさと実用性を兼ね備えた、非常に完成度の高い貴金属です。
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プラチナ
ロレックスの「プラチナ」は、自社鋳造による高純度・高品質なPt950(プラチナ95%)合金で、非常に高価で希少なため、ハイエンドモデルやスペシャルモデルにのみ使われます。
1. 落ち着きのある圧倒的な存在感
重厚なプラチナならではの重量感と、控えめで滑らかな輝きが特徴。
派手さではなく、本物を知る者だけがわかる最上級のマテリアル。
2. 優雅さと耐久性を兼ね備えた特別素材
高純度のPt950を使用し、耐腐食性と強度をハイレベルで実現。
見た目の美しさだけでなく、性能も損なわない実用度の高い素材。
3. 限られたモデルのみに限定で採用
デイデイトやコスモグラフ デイトナなどハイエンドモデルにのみ採用。
特別カラーの「アイスブルー」ダイヤルが希少価値を象徴。
加工の難しいプラチナ素材を、自社の鋳造施設で管理・製造し、「デイデイト」や「コスモグラフ デイトナ」といった最上級モデル、「ランドドゥエラー」や「パーペチュアル 1908」といった新作の一部モデルにのみ採用しています。
専用に組み合わされる“アイスブルー”の文字盤も含め、その希少性こそが、ロレックスの伝統的な哲学と卓越した技術の結晶です。
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ロレゾール(コンビ素材)
ロレゾール=<ステンレス+ゴールド>のコンビ素材の名称です。
【ロレゾール(Rolesor)】とは、ロレックスによる造語で、商標登録もされています。
“Rolex” + “Or”(フランス語でゴールド)に由来しています。
ロレックス独自のコンビ仕様「ロレゾール」とは
ロレックスでは、デイトジャストなどのドレスウォッチからプロフェッショナルスポーツモデルまで幅広く「ロレゾール」をラインナップしています。
| ロレゾールの種類 | ゴールドの素材 | 主なモデル |
|---|---|---|
| イエローロレゾール | イエローゴールド | デイトジャスト、サブマリーナー |
| ホワイトロレゾール | ホワイトゴールド | デイトジャスト(主にベゼル) |
| エバーローズロレゾール | エバーローズゴールド | デイトジャスト、GMTマスターII |
堅牢で実用的な904Lステンレスの「オイスタースチール」と、高品質な「18Kゴールド」を融合した、ラグジュアリーでステイタス性がアップするため人気の高い素材コンビネーションです。
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ロレジウム(プラチナベゼル)
ロレジウム=<ステンレス+プラチナ>のコンビ素材の名称です。
904Lステンレススチール製のケースに、950プラチナ製のベゼルプレートを組み合わせた素材で、1999年に「ヨットマスター Ref.16622」で初めて採用されました。
1. 上品で控えめな高級感
プラチナ特有の柔らかく上質な光沢が、ギラつき過ぎない雰囲気を演出。
ゴールド素材のような派手さではなく、上質な高級感を強くアピール。
2. 実用性とラグジュアリーの融合
優れた耐久性と耐腐食性を誇るタフな904Lステンレススチールのケース。
上質なプラチナを組み合わせることで、堅牢さと贅沢さの両立を実現。
3. 特別感のある限定的な採用
「ヨットマスター」シリーズでのみ採用されるスペシャルな素材。
ロレックス以外のブランドにも存在しない、希少性の高い素材構成。
※ロレジウムも”ロレゾール”の定義に近いコンビ仕様ですが、採用モデルが少ないためかロレックスでは”プラチナロレゾール”ではなく「ロレジウム」という別名称で区別して扱っています。
「サブマリーナー」の上位モデルにあたる「ヨットマスター」のみに採用されており、ステンレスの堅牢性とプラチナの上質さを併せ持ち、控えめながらもクールで洗練された輝きを放つラグジュアリースポーツモデルにふさわしい特別な素材です。
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チタン(RLXチタン)
ロレックスのチタン素材「RLXチタン」は、ロレックスが長年の研究開発を経て採用した、超軽量かつ高強度、さらに耐腐食性にも優れたハイテクチタン素材として注目されています。
1. 大幅な軽量化を実現
RLXチタンは、904Lステンレスと比べて約40%も軽量。
長時間着用しても疲れにくく、大ぶりなスポーツモデルとの相性が良い。
2. チタンの中でも高品位なグレード5を使用
航空・宇宙・医療分野でも使われる高性能なグレード5のチタン合金。
アルミニウムとバナジウムを配合し、高強度ながら加工の難しさを克服。
3. 特殊な表面仕上げ
独自のブラッシュ加工(サテン仕上げ)を施し、マットで落ち着いた質感。
チタン特有の光の反射を抑えた輝きで、ミリタリー感・機能美を強調。
4. プロフェッショナルモデルへの限定採用
RLXチタンはハイエンドなプロフェッショナルモデルにのみ限定採用。
▶ ヨットマスター 42 Ref.226627
▶ ディープシー チャレンジ Ref.126067
▶ ディープシー Ref.136668LB ※裏蓋
「RLXチタン」は、”世界最高の実用時計”を追求するロレックスの思想から生まれた、あらゆる面で時計に最適な最新鋭のハイテク素材です。
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ロレックスのストラップ素材を深掘り解説
ロレックスの時計本体に組み合わされるブレスレットといえば、ステンレススチール製のスポーティーな『オイスターブレスレット』や、ドレッシーな『ジュビリーブレスレット』を思い浮かべる方も多いでしょう。
ロレックスは、金属製以外のストラップにも一切の妥協を許していません。
現行モデルで採用されている代表的な2種類、モダンでスタイリッシュな「オイスターフレックス」と、クラシカルで上質な「レザーストラップ」の魅力を掘り下げてご紹介します。
オイスターフレックスブレスレット
「コスモグラフ デイトナ」・「ヨットマスター」・「スカイドゥエラー」で採用されているのが、『オイスターフレックス ブレスレット』と呼ばれる独自のラバーストラップです。
2015年にロレックスが特許取得し、「ヨットマスター37 268655」と「ヨットマスター40 116655」で初めて採用されました。ストラップではなく“ブレスレット”として位置づけられています。
1.高性能エラストマー×金属芯材
外装に耐久性に優れた高性能エラストマー(合成ラバー)を採用。
内部にしなやかな2本の金属ブレード(チタン・ニッケル合金)を内蔵。
2.フレックスフィンシステム
内側に“フレックスフィン”と呼ばれるヒダ状のクッション構造を搭載。
熱を逃がし湿気がこもりにくく、長時間の着用でも快適な装着感を実現。
3.優れた堅牢性を実現
ラバー素材のストラップながら、堅牢性は金属製ブレスレットに匹敵。
あらゆるシーンで時計の精度をしっかりと支える柔軟性と安定性を両立。
ブレスレットと位置付けられている「オイスターフレックス」ですが、コマを外してサイズ調整可能な金属ブレスレットと異なり、サイズ調整の自由度が限られるため、購入時のサイズ選びに注意が必要です。
「オイスターフレックスブレスレット」サイズ選びの注意点
↑”F”の刻印がある65mmのFサイズ
| 1. 「カット式」ではなく「長さ固定式」 長さ調整ができるカット式ではなく、固定されたパーツ【D:45mm、E:55mm、F:65mm、G:75mm、H:85mmの全5サイズ】から長さを選びます。 ※例えば「12時側:F(65mm) + 6時側:E(55mm)」など、好みのサイズに組み合わせできるのは、オイスターフレックスならではの特徴です。 |
↑現行モデルに採用されているグライドロッククラスプ
| 2. グライドロッククラスプで調整可能 現行のオイスターフレックスブレスレットモデルには、最大約15mmほど延長/縮小の調整が可能なグライドロッククラスプが採用されています。 工具不要のスライド式で簡単に微調整できるため、気温などによる手首サイズの変化にも柔軟に対応できます。 |
↑2022年頃まで採用されていたイージーリンク
| 3. イージーリンクは廃止、パーツ交換費用 従来の金属ブレスレットに見られるイージーリンク(バックル内部で約5mmの延長/縮小)は、2022年以降のオイスターフレックスブレスレットには搭載されていません。 ※サイズ変更が必要な場合は、パーツ交換(日本ロレックスにて1本39,600円~ +作業技術料3,300円)となるため、購入時のフィッティングが肝心です。 |
見た目こそ一般的な黒色のラバー素材のストラップですが、金属製ブレードを内蔵し、メタルブレスレットと同等の耐久性と安定性を実現。ロレックスの卓越した技術力とクラフトマンシップを象徴する、ユニークかつ実用性の高い次世代ブレスレットです。
アリゲーターレザーストラップ
かつて展開されていたドレスウォッチコレクションの「チェリーニ」、一部の「デイデイト」や「コスモグラフ デイトナ」、そして現行モデルの「パーペチュアル 1908」などに採用されているのが、肉厚で高級感あふれるアリゲーターレザー製ストラップです。
「パーペチュアル 1908」では、マットなブラウンまたはブラックの2色展開となっており、同系色のステッチで統一感を演出。ストラップの裏面には、ロレックスのブランドカラーであるグリーンのカーフスキンライニングが施されており、見えない部分にもロレックスらしいこだわりが感じられます。
このしっかりとした厚みと重厚感を持つアリゲーターストラップが、「パーペチュアル 1908」のクラシカルでタイムレスな雰囲気を一層引き立て、金属製ブレスレットとは異なる上質で落ち着いた装いを完成させています。
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ロレックスが追求するのは、「世界最高の高級時計」ではなく「世界最高の実用時計」。
魅力的な理由のひとつとして、時計に採用する素材への徹底したこだわりにあります。
まとめ:素材から見るロレックスの魅力と価値
ロレックスが時計に採用する高品質な素材について、理解が深まったでしょうか?
冒頭で触れた「ロレックスが魅力的な理由」。
その本質は、素材の選定から開発、製造に至るまで、すべての工程を自社で行うという、徹底したモノづくりの姿勢にあるのかもしれません。
「オイスタースチール」、「エバーローズゴールド」、「RLXチタン」といった独自素材は、ロレックスだからこそ実現できた、長年の研究と技術の結晶です。
美しさや高級感はもちろん、優れた耐久性・精度、そして“一生もの”としての信頼性も、すべては高品質なベース素材があってこそ支えられています。
ご紹介してきたように、素材へのこだわりひとつ取っても、ロレックスは他のブランドとは一線を画しています。それが“時計の王様”と称され、多くの人に選ばれ続ける理由でもあるのです。
素材を知ることで、ロレックスの魅力はきっとさらに深まるはずです!
このほかにも、ロレックスに関する豆知識や情報を多数ご紹介していますので、ぜひあわせてご覧ください。
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