昨今は“関税”などのニュースで輸入品が話題になりますが、皆さんは『並行輸入品』と聞いて、どのようなものを思い浮かべるでしょうか。
「並行輸入品」は、輸入品の中でも少し特殊な位置づけにあります。
メジャーなものでは、海外メーカーの自動車のような大きなものから、有名ブランドのバッグやアパレル、海外限定のスニーカー、日本では流通していないコスメや香水、さらにはお酒やお菓子などの食品まで幅広く存在します。
日本では古くから様々な「並行輸入品」が流通しており、現在も多くの人に選ばれています。

しかし、高級時計のように、非常に高価で繊細なアイテムについては不安がつきまといます。
▶「日本の定価より安く売られているけど、偽物?」
▶「もし故障した場合、修理や保証はどうなるの?」
▶「並行輸入品でも買取り可能?」
宝石広場でも、このようなお問い合わせを多くいただいております。
結論からお伝えすると――
並行輸入品とは、「正規品でありながら、メーカー公認のルート(=正規代理店)を通さずに海外から直接輸入された商品」です。
商品自体は本物で、正規品と全く同じものなので、購入先や保証制度をきちんと確認すれば、お得に安心して購入できる選択肢となります。
つまり、商品はまったく同じで、「どのルートで輸入されたか」という違いだけです!
そこで今回の記事は、『並行輸入品』について、詳しく解説いたします。
並行輸入品が国内定価よりも安い仕組み、購入するメリットや注意点をわかりやすく解説。
「お得に安く買いたいけど、安心して使いたい!」という方に向けて、信頼できる購入方法や選び方のポイントも詳しくご紹介します。
並行輸入品とは?
そもそも、並行輸入品とは、どのようにして海外から日本へ輸入された品物なのでしょうか。

正規品との違い
ここで言う「正規品」とは、”偽物ではない本物の商品”という意味ではなく、正規に輸入された商品(=正規輸入品)を指します。
一方、メーカーや国内の正規代理店を介さずに、海外から直接輸入された商品が「並行輸入品」です。
正規輸入品:メーカー公認ルート(国内代理店・日本法人など)を通じて輸入された商品
並行輸入品:個人や業者が独自のルートで海外から輸入した商品
※どちらも「本物の正規品」ですが、流通経路に違いがあるという点が重要なポイントです。
仕入れルート
並行輸入品は、海外の正規販売店やディストリビューター(卸売業者)から直接仕入れるケースが多く、独自のルートで日本へ輸入されます。
たとえば、スイスの正規販売店で購入された商品や、海外の信頼できる卸売業者から仕入れた商品が、厳重に梱包されて航空便で日本に届くという流れです。
価格設定
並行輸入品は、輸入コストや中間マージンが抑えられるため、総じて正規品よりも安く販売されることが多くなります。
正規輸入品には、メーカーが定めた国内販売価格(いわゆる”定価”)があり、正規販売店はその価格に従って販売する必要があります。
これは、ブランドごとのマーケティング戦略に基づき、販売国別に価格が設定されているためです。
一方で並行輸入品には定価販売の義務がなく、ショップが自由に価格を設定できるため、市場の需要や仕入れ状況によって、安く販売されるケースが多いのです。
※ただし、例外としてロレックスのプロフェッショナルスポーツモデルなど、世界中で人気が高くプレミア価格が付く商品では、並行輸入品でも正規価格を上回るケースがあります。
アフターサービス
正規品は、日本の正規代理店を通じて購入すれば、メーカー保証や修理・電池交換などのサポートを受けられます。
一方、並行輸入品は、これらのサービスを受けられない場合がある点に注意が必要です。
※そのため、並行輸入品を購入する際は、販売店独自の保証の有無や、購入後のアフターサービスの対応内容を事前に確認することがとても重要です。
並行輸入は違法?合法?
結論から言うと、並行輸入は合法です。何も問題ありません。
正規代理店などの公式ルートを通さずに、海外で正規に販売された商品を日本に輸入・販売する行為は、「商標権の消尽原則」により、商標権の侵害には当たらず、法律上も問題ありません。
「商標権の消尽原則」とは、知的財産権の一種である商標権において、商標権者が一度適法に商品を流通させた場合、その後の販売や再流通に対して権利を主張できないという法的な考え方です。
この点については、特許庁の公式Q&Aでも明確に説明されています。
※特許庁|Q2. 並行輸入は商標権侵害になりますか?ただし、偽物(模倣品)の輸入や販売は商標法違反や関税法違反に該当し、個人・法人を問わず違法行為とされ、罰金・懲役などの厳しい罰則が科されます。
並行輸入品のメリット
並行輸入品の良いところは、どのようなものでしょうか。
1. 価格が安い
並行輸入品の最大の魅力は、やはり価格の安さです。
正規品のように定価販売の縛りがないため、お得に購入できるケースが多くあります。
例えば、宝石広場の販売価格では、以下のような価格差が見られます。
✅ 並行輸入品の販売価格例(※2025年9月時点の参考価格)
入荷タイミングなどにもよりますが、多くの商品が国内定価よりも安い価格で並行輸入品が販売されています。
2. 日本未発売モデルが手に入る
日本国内に正規代理店が存在しているブランドであっても、”日本未発売”モデルが存在します。
欧州限定・北米限定など特定の国や地域でしか販売されないモデル、海外のパネライ公式ブティックのみで発売されたモデルなど、希少な日本未発売モデルが手に入ることがあります。
他人と時計が被るのが嫌な方や、レアモデルをお探しの方は、日本の正規代理店で取り扱っていない並行輸入品がおすすめです。
3. 廃盤・希少モデルが入手可能
生産が終了して日本の正規代理店では入手できなくなった少し古い廃盤モデルも、海外の正規店ではまだ流通している場合があり、デッドストック品や未使用品として並行輸入店へ入荷する場合があります。
他にも、日本の正規代理店では即完売した数量限定などの希少なモデルも、並行輸入店が独自のネットワークを駆使して在庫を確保している場合もあります。
「HUBLOT ビッグ・バン ウニコ TMT(The Money Team)411.VX.1180.PR.0904.TMT18」は、50戦無敗の元世界ボクシング王者、フロイド・メイウェザーとのコラボレーションモデルで、直筆サイン入りのグローブが付属する、ダイヤモンド装飾が豪華絢爛なスペシャルタイムピースです。発売時”世界10本限定”とアナウンスされ、日本国内のウブロ直営ブティックでは1本のみのリリースと噂された超希少モデルです。
日本の正規代理店では入手困難なレアモデルも、並行輸入品を取り扱う並行輸入店では入手可能な場合があります。
4. レアモデルをすぐに買える
「コスモグラフ デイトナ」や「サブマリーナー」などの”スポロレ”ことロレックスのプロフェッショナルスポーツモデル、パテック フィリップの「ノーチラス」、オーデマ・ピゲの「ロイヤルオーク」などの”ラグジュアリースポーツ”モデルは、世界的に人気が集中し、正規店での購入は極めて困難です。
正規店へ何度通っても在庫がなく、時には希望外のモデルを購入して”実績作り”をしなければならないケースも。また在庫があっても、厳格な購入制限が設けられるなど、入手のハードルは非常に高いのが実情です。
その点、並行輸入品であれば人気のレアモデルに出会える可能性が高まります。
定価以上のプレミア価格になることもありますが、「欲しいときにすぐに手に入れられる」というのは大きな魅力です。
「オーデマ・ピゲ ロイヤルオーク 15500ST.OO.1220ST.01」は、ラグジュアリースポーツモデルを代表する超人気時計です。”グランド・タペストリー”模様のブルーダイヤルは深みのある表情を見せ、ブレスレットまで連続する洗練されたステンレスケースと完璧な調和を奏でます。現行機種でありながら国内・海外ともに限られた正規ブティックでしか購入できないため希少なモデルとなっています。
並行輸入店では、各国から独自のルートで商品を仕入れているため、正規店では入手が難しい希少モデルも取り揃えていることがあります。
日本の正規店では入手が困難なロレックスの時計も、並行輸入品を扱う店舗であれば、文字盤カラーやケースサイズなどを比較しながら、希望のモデルをスムーズに手に入れられる可能性があります。
並行輸入品の注意点・デメリット
並行輸入品は「安く購入できる!」「欲しいモデルを手に入れやすい!」といった魅力がある一方で、いくつか注意すべき点もあります。
ここでは代表的なデメリットをご紹介します。
1. メーカー保証が受けられない場合がある
正規代理店を通じて購入した時計は、メーカー保証や修理・電池交換といったサポートを受けることができます。
一方で、並行輸入品はメーカーの保証対象外となるケースが多いため、販売店独自の保証や修理対応に頼ることになります。
たとえば、タグ・ホイヤー、ウブロ、IWC、フランク・ミュラーといったブランドでは、正規代理店で購入した商品にしかメーカー保証が適用されません。
ただし、ブランドによっては並行輸入品でもメーカー保証が受けられるケースがあります。
国際保証制度を導入しているブランドでは、新品購入から一定期間は正規店で保証を受けられる仕組みがあり、並行輸入品でも対象となります。
購入する際は、以下を確認しておくと安心です。
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2. 偽物のリスクがある
残念ながら、悪質な業者による偽物の販売も存在します。
正規品の画像を無断で流用したり、AIを使って精巧に作られた偽サイトを使って消費者を欺くケースもあり、年々見分けが難しくなっています。
「販売価格が異常に安すぎる」「販売元の会社概要や店舗情報が不明瞭」といった場合は、特に注意が必要です。
信頼できるショップを選ぶことが、偽物を避けるための最大の対策です。
3. 日本仕様と異なる場合がある
並行輸入品は、主に欧米市場向けのモデルが多いため、以下のような違いが生じる場合があります。
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時計本体だけでなく、付属品の仕様も正規品と異なる可能性がある点を理解しておきましょう。
4. 買取価格に差が出ることもある?
日本の正規店で発行されたギャランティーカードが付属する正規品に対し、「海外の店舗で発行されたギャランティカードの並行輸入品は買取価格が下がるのでは?」と心配される方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実際には並行輸入品だからといって、買取査定で不利になるケースはほとんどありません。
宝石広場の査定士である若月が、その理由を詳しく解説します。
宝石広場の買取査定では、「正規品か並行輸入品か」という区別で査定額を変えることは一切ありません。
私たちが重視するのは 『モデルの人気・希少性・コンディション』 です。
特にロレックスでは、海外店舗発行のギャランティカードには購入者名が記載されず、日付と店舗名のみの記載となるため、この点を好む方もいらっしゃいます。とはいえ、「正規品か並行輸入品か」によって査定額に差が出ることはありません。
ロレックス以外のブランドでも、人気モデルで状態が良ければ、並行輸入品でも高い査定額がつくことは珍しくありません。
「正規品か並行輸入品か」という違いは、あくまで一要素に過ぎず、査定額を大きく左右するものではありません。
ご不安な点がございましたら、モデルや相場状況を踏まえて詳しくご案内いたしますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
宝石広場では、LINE査定・オンライン査定・宅配査定など、ご自宅にいながらご利用いただける宝石広場の無料査定サービスをご用意しております。ぜひお気軽にご利用ください。
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並行輸入品が正規品より高くなる理由
「並行輸入品=安い」というイメージを持つ方も多いですが、実際には正規品より高額になることもあります。
並行輸入品が正規品より高くなるモデル
並行輸入品が正規品より高くなるケースの代表例が、前述の『レアモデルをすぐに買える』とお伝えした、ロレックスの「コスモグラフ デイトナ」、パテック フィリップの「ノーチラス」、オーデマ・ピゲの「ロイヤルオーク」です。
これらの時計は、世界中の購入希望ユーザーが求める需要と、メーカーの生産本数や各国の正規店へ流通する供給のバランスが崩れているため、正規店よりも高値で取引されることがほとんどです。
2023年に刷新された「コスモグラフ デイトナ 126500LN」は、傷に強いブラックのセラクロムベゼルと端正なホワイト文字盤が爽やかな印象を与え、フォーマルからカジュアルまで幅広く活躍します。先代「116500LN」から細部がブラッシュアップされ、よりシャープで高級感ある仕上がりとなり、”スポーツロレックスの象徴”として世界的に高く評価されています。
圧倒的な人気ゆえ、日本の正規店ではほぼ常時入荷待ちで、定価(約230万円台)で購入できる機会は極めて稀です。そのため並行輸入市場では希少性からプレミア価格が付けられ、2025年9月現在でも定価の2倍以上で取引されています。
並行輸入店は、人気モデルをなんとか確保するために、高い価格で仕入れることになります。
その結果、正規店では定価で販売されている時計が、並行市場では需要の高さからプレミア価格となり、定価を大きく上回る価格で販売されているのです。
並行輸入品が正規品よりも高くなるケース
さらに、以下のようなケースでも並行輸入品の販売価格に注意が必要です。
リミテッドモデル・コラボレーションモデル
創業記念や映画『007』とのコラボレーションなど、数量限定で販売されたモデルは、日本以外でも希少性が高くプレミア価格で流通する傾向があります。
海外限定リリースの日本未発売モデル
パネライの海外ブティック限定など、特定のエリアのみでリリースされた日本未発売のモデルは入手経路が限られるため、正規品以上の高値が付く場合があります。
輸入コストの影響
輸入関税や手数料、燃料費・運送費などの輸入コストが上昇すると、その分が販売価格に上乗せされ、結果的に正規品より割高になることもあります。
為替相場の変動
ドルやユーロに対して円の価値が下がる「円安」が進むと、海外での仕入れ価格を円換算した際にコストが上昇し、正規品より高額になるケースがあります。
並行輸入品は「安い」だけではなく、モデルや相場次第では「正規品より高い」こともあるため、購入前に最新の市場価格を確認することが大切です。
信頼できる並行輸入店の見極め方
並行輸入品を購入する上で最も重要なのは、信頼できるショップを選ぶことです。
価格だけに目を奪われず、「安心して購入できるお店かどうか?」をしっかりジャッジして見極めることが、後悔しないための最大のポイントです。
ここでは、信頼できる並行輸入店を判断するためのチェック項目をご紹介します。
実績と運営歴
長期間にわたり店舗を運営している並行輸入店は、安定した仕入れルートと豊富な販売実績を持つ信頼の証です。
購入前には、会社概要ページに「設立年」「運営企業」「特定商取引法に基づく表示」などの情報が明記されているかを必ず確認しましょう。
さらに、Googleマップの口コミ評価や、価格コム・楽天市場などでのレビューが安定しているかどうかも、重要な判断基準となります。
実店舗の有無
近年は、家賃や人件費といったコストを抑えるために、インターネット上のみで営業するショップも増えていますが、実店舗があるお店の方が信頼性が高い傾向にあります。
実店舗があると、実際に商品を手に取って確認できるだけでなく、購入前の相談やアフターサービスの際に「顔が見えるやりとり」ができるのは安心材料です。
もちろん、実店舗がないからといって必ずしも問題があるわけではありません。
しかし、高級品を扱う場合、安心して購入できないと感じるショップは避け、信頼性の高い店舗を選ぶことが大切です。
『宝石広場』は、1963年創業。渋谷に店舗を構えて30年以上、高級ブランド時計やジュエリーを、新品・中古あわせて常時3000点以上取り揃える大型専門店です。![]() |
独自保証とアフターサービス
並行輸入品はメーカー保証の対象外となる場合が多いため、購入店がどのような保証・アフターサポートを用意しているかが非常に重要です。
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宝石広場では、並行輸入品でも安心してお使いいただけるように、メーカー保証に代わる独自の保証制度を整えております。
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| 年間6000件以上の修理実績を誇る『時計修理センター渋谷』。 熟練の時計整備技師やジュエリー職人などのプロフェッショナルが多数常駐しています。 ![]() |
品揃えの豊富さ
人気ブランド(ロレックス、オメガ、ウブロなど)や、超高級ブランド(パテック フィリップ、オーデマ・ピゲなど)まで数多く取り揃えているショップは、信頼できる仕入れ業者などと強固な関係を築いて安定した仕入れルートを確保している証拠です。
↑宝石広場 渋谷本店のブライトリング一覧
さらに、正規代理店が無いブランドや知名度の低いブランド、日本未発売モデルや限定品のまで網羅しているショップは、それだけ幅広いネットワークと仕入れ力を持っている証拠であり、信頼度の高いお店といえます。
↑国内外の人気ブランド時計を豊富に展示
まとめ
並行輸入品は、「国内定価よりも安く購入できる!」「日本未発売の希少モデルが手に入る!」といった大きな魅力を持つ選択肢です。
世界中のブランド時計が日本にいながら入手できるのも、並行輸入品ならではの楽しみと言えるでしょう♪
一方で、メーカー保証が受けられないことがある、偽物リスクがある、日本仕様と異なるケースがあるなど、注意すべき点も存在します。
だからこそ購入の際は、運営実績のある店舗か、独自の保証やアフターサービスが整っているかといった「信頼できる販売店を見極める目」がとても大切です。
メリットとデメリットをしっかり理解し、安心できるショップを選べば、並行輸入品は正規品に劣らないどころか、むしろ“理想の一本”に出会える可能性を広げてくれる存在です。
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